ID決済とは:ECサイトの決済手段であるID決済の種類と特徴

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【ID決済とは】ECで利用する主なID決済の種類と特徴

今回は急速にサービスが広がってきている「ID決済」(Amazon Pay、PayPay、楽天ペイ、LINE Pay)についてその種類とそれぞれの特徴について、ネットショップ運営者の視点でお伝えしていきます。

「ID決済」をうまく活用することで、ネットショップの運用を上手に進めていく一助にしていただければと思います。

今回ご紹介するID決済以外も含めたネットショップの決済方法について、「ネットショップ ECの代表的な決済方法とメリットデメリット」で詳しく解説していますので、どんな決済方法があるのか知りたい方は合わせてご参照ください。

本記事を読むにあたって

(※)本記事に記載の各情報は2021年12月執筆時点のものです。
時期によって記載の内容と異なっている場合もありますので、最新の正確な情報は各公式サイトをご確認ください。
 

ID決済とは?

ID決済とは、Amazon Payや楽天ペイ、PayPay、LINE Payなどの登録情報を他のネットショップでの購入に利用する決済方法です。

ネットショップでの購入にあたってのユーザーの手間が省けるため、ID決済の利用者は非常に増加しています。

下記は、通常のネットショップでの購入フローです。通常の購入フローでは、個人情報を買い物の度に入力するのを面倒に感じるユーザーが多いです。


ID決済を導入すると個人情報入力のワンステップの手間を省略できます。

スマホでたくさんの情報を入力するのは大変ですから、ユーザーの利便性を考えるとID決済はかなり便利であることがわかります。

ID決済の主なメリット

今回、ご紹介する「ID決済」(Amazon Pay、PayPay、楽天ペイ、LINE Pay)を導入することで得られる共通のメリットは以下のとおりです。

  • クレジットカード情報の入力が不要でユーザーが楽。
  • ショップ運営者にとって新規顧客の獲得・CVRの改善の機会になる

ID決済サービスの情報を利用しますので、ユーザーはスマホで余計な情報を入力する必要がなくなります。また、ID決済を利用するユーザーからの新規顧客が購入しやすくなり、CVR(購買率)の改善につながります。

代表的な「ID決済」サービスの一覧と特徴

次に、代表的な「ID決済」サービスを見ていきましょう。

今回、各ID決済サービスの比較にあたって、ネットショップ運営者視点で、ネットショップ作成サービス「Shopify」での導入を前提として記載しています。。

ネットショップにおけるID決済の導入にあたってはネットショップ作成サービスを利用するケースが多いですし、「Shopify」であればオプションの追加料金なしで4つの代表的なID決済サービスをすべて利用できる点からも比較がしやすいためです。

ID決済名特徴決済手数料
Amazon Pay◆Amazon Payの利用が前提
・世界水準のセキュリティで保護
・Amazonギフト券が利用可能
・ マーケットプレイス保証 の適用
3.9% (デジタルコンテンツ以外)
4.5% (デジタルコンテンツ)
楽天ペイ  ◆SBペイメントサービス利用が前提
・楽天ポイントの活用
・楽天ポイントパーツの設置
・世界水準のセキュリティで保護
・チャージバック補償サービス  
3.24%~3.74%  
PayPay◆SBペイメントサービス利用が前提
・大規模な販促キャンペーン
・セキュリティ基準「PCI DSS」の認定取得
・現金でチャージが可能
3.3%  
LINE Pay◆KOMOJU利用が前提
・8,900万を超える国内LINEユーザーにアプローチ
・LINE公式アカウントとの連携
・ 現金でチャージが可能
3.5% (物販) 9.0% (デジタルコンテンツ)

(参考) Shopifyで使える決済サービス | Shopify

次にID決済が重要であることを裏付ける二つの調査結果を見ていきましょう。

ニールセン デジタルのコンテンツ視聴率調査

ニールセン デジタルのコンテンツ視聴率(Nielsen Digital Content Ratings)のMonthly Totalレポートによると、オンラインショッピングにおいて、PCとモバイルの重複を除いた「トータルデジタル」での利用者数のシェアをAmazonと楽天市場が争っている状態になっています。

参照先:https://www.netratings.co.jp/news_release/2021/06/Newsrelease20210615.html

◆2021年は上記のとおり、1位:楽天市場5,370万、2位:Amazon5,120万です。
ちなみに、2020年は1位:Amazon5,253万、2位:楽天市場5,138万でした。

Amazonや楽天市場の利用者が多いということは、それだけAmazon payや楽天ペイの利用者となりうる層も多いと考えられますね。

Baymard Instituteによる調査~ショッピングカートのカゴ落ち69%

Amazon PayがBaymard Instituteに依頼した調査によると、ショッピングカートに入った商品の69%は購入されないことが分かっています。

参照先:https://pay.amazon.co.jp/blog/baymard-vol-1

当レポートの中で商品の購入率を高めるためには、ユーザーへの以下の6つの施策が有効であると結論づけています。

  • 入力する項目を可能な限り減らすこと
  • 効率よく入力する手助けをすること
  • 安心してクレジットカード情報を入力できるようにすること
  • 買い物に必要な情報だけを取得すること
  • ネットショップのアカウントを作成することを強制しないこと
  • 多様な決済手段を用意しておくこと

「ID決済」を導入することで、6つの施策を容易に実施することが可能になり、「カゴ落ち」の可能性を軽減させることができます。

主なID決済の種類と特徴

Amazon Pay(アマゾンペイ)

一つ目にご紹介するID決済は、Amazon Pay(アマゾンペイ)です。

Amazonは2015年5月、日本で決済サービスを開始しました。2020年時点で1万社を超える事業者が「Amazon Pay」を導入しています。Amazonで購入経験があるユーザーであれば、Amazonアカウントを使ってネットショップでの購入が可能となるサービスです。

Amazonは「カスタマーセントリック(顧客第一主義)」「Day 1(初心を忘れない)」を掲げ、「地球上で最もお客様さまを大切にする企業になること」を理念としています。

Amazon Payに関してもユーザーがAmazon外のネットショップでAmazonのアカウントを使って、簡単、快適に安心して買い物ができるようにするために、最適なサービスは何なのかを徹底的に追及しています。

下記のAmazonのビジネスモデルです。

Digital Shift Times https://digital-shift.jp/platformer/200901 より引用

Amazonのビジネスモデルの全体像を表したものですが、Amazon Payは「Off Amazon」にあたります。

自社の顧客がAmazonの取り扱っていない商品を購入したくなった場合にも、便利なAmazonのサービスを選択してもらうことで満足度を向上させ、結果として長期的に自社の事業の発展につなげていく狙いがあります。

「Amazon Pay」 の特徴は以下のとおりです。

世界水準のセキュリティで保護

Amazonは世界水準のセキュリティで決済情報を保護してくれますし、24時間365日体制で不正取引を監視しています。

Amazonギフト券が利用可能

Amazonギフト券がAmazon Payの支払いで利用可能です。

ネットショッピングにおいてクレジットカードの利用に抵抗がある層や、クレジットカードを保有できない若年層でもコンビニなどであらかじめAmazonギフト券を現金で購入しておくことで、Amazon Payを使って買い物することが可能です。

マーケットプレイス保証の適用

また、Amazonでの購入で適用されるマーケットプレイス保証を、Amazon外のネットショップでの購入においても適用対象としています。

知名度のないネットショップで購入する場合、商品破損など万が一トラブルがあったらどうしようかと心配になることがあります。そんな時、Amazon Payを使っていれば、Amazonが返金してくれるので安心です(※)。

A

(※)マーケットプレイスの詳細は「Amazon マーケットプレイス保証」を確認ください。

楽天ペイ

参照先:楽天IR資料 https://corp.rakuten.co.jp/investors/documents/results/

2つ目にご紹介するID決済は、楽天Payです。

楽天市場と言えば、創業者の三木谷浩史社長が提唱する楽天経済圏です。

「楽天EXPO2021」においても「今年、国内の年間EC流通総額は5兆円。エコシステム(楽天経済圏)を拡大し、2030年くらいまでに10兆円まで成長させることも可能だ」と発信されています。楽

天市場の1億以上の楽天IDを基盤にして、「楽天ポイント」、「楽天カード」、「楽天銀行」などのサービスで相乗効果を生んでいます。

「楽天ペイ」の特徴は以下のとおりです。

楽天ポイントの活用

「楽天ペイ」を導入するネットショップにとって魅力的なのが、楽天ポイントの活用があります。

スマホでのネットショッピングが年々増加していますが、通信4キャリア利用者が最も利用するポイントサービス1位は「楽天ポイント」との調査結果(MMD研究所)が出ています。

通信4キャリア利用者が最も利用するポイントサービス https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1974.html より引用

ユーザーにとっては楽天ポイントを使って買い物ができるから、このお店で購入しようという動機づけにつながります。

楽天ポイントを活用した各種キャンペーンが定期的に実施され、楽天の会員基盤とポイントを活用した、効果的なマーケティング支援により売上向上につなげることができるでしょう。

楽天ポイントパーツの設置

楽天ポイントパーツ は、ショップを訪れた楽天会員の保有ポイント数を表示する機能です。

楽天HP
https://help.shop-pro.jp/hc/ja/articles/1500003403081-%E6%A5%BD%E5%A4%A9%E3%83%9A%E3%82%A4-%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E6%B1%BA%E6%B8%88-%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%83%97%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%AE%E8%A8%AD%E7%BD%AE%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6 より引用

楽天ポイントの表示によって購入意欲を上げることや、購入を決めた顧客の追加購入も促すことが可能なため、購買率や客単価の向上に貢献します。

世界水準のセキュリティで保護

VISA・MasterCard・JCB・American Express・Diners Clubの国際クレジットカードブランド5社が共同で策定した、グローバルセキュリティ基準PCI DSS Ver3.2.1 に準拠 しており、世界水準のセキュリティで保護されています。

チャージバック補償サービス

楽天ペイ導入により無料で自動付帯されるチャージバック補償サービスにより、店舗が被った損失金を月額の補償限度額に応じて楽天が補償してくれます。
※「チャージバック」:クレジットカードの不正利用から消費者を守る仕組み

楽天ペイを導入することで、楽天市場に出店しなくても「楽天ポイント」を中心とした楽天経済圏の恩恵を受けることが可能となりま

チャージバックについて詳しくは「よくある質問 | 楽天ペイ」をご参照ください。

PayPay(ペイペイ)

https://about.paypay.ne.jp/ より引用

3つめにご紹介するID決済はPayPayです。

PayPayは、2018年10月に開始したサービスです。ここ数年の動きは2001年Yahoo! BBの大規模な販促キャンペーンを彷彿させるものがありました。

2021年には、登録ユーザー数が4,000万人を突破、破竹の勢いで成長を続けています。

参照先:PayPayプレスリリース https://about.paypay.ne.jp/pr/20210617/01/

「PayPay」は、店頭決済だけでなく、オンライン決済や金融、公共料金、税金など利用の幅を広げていく、スーパーアプリを目指しています。
※「スーパーアプリ」:日常に必要な多数の機能を一つのアプリで網羅しているアプリ。

「PayPay」 の 特徴は以下のとおりです。

大規模な販促キャンペーン

定期的に大規模な販促キャンペーン「PayPay祭」を開催しており、加盟店になるとその恩恵を受けることができます。ユーザーへの還元率が高いので、それだけお得に買い物ができるので購買意欲を高めることができます。

ネットショップでの買い物が年々スマホ主流になってきていますので、「スーパーアプリ」を目指す「PayPay」を決済手段の一つとして検討する価値があります。

セキュリティ基準「PCI DSS」の認定を取得

PayPayに登録されたクレジットカードの情報は「Yahoo!ウォレット(Yahoo! JAPANのインターネット上の決済サービス)」で管理されています。

Yahoo! JAPANは「Yahoo!ウォレット」において、クレジットカード決済に関する会員情報や取引情報および決済プロセス等におけるセキュリティ基準である「PCI DSS」の認定を取得しています。

現金でチャージが可能

セブン銀行ATMやローソン銀行ATMから現金でPayPay残高にチャージが可能です。クレジットカードを使いたくない人や、保有できない若年層でも利用が可能なサービスになっています。

LINE Pay(ラインペイ)

参照先:https://pay.line.me/portal/jp/business/merchant

4つ目にご紹介するID決済は「Line Pay」です。

「LINE Pay」は日本国内において最も多くのユーザー数を誇るメッセージアプリ「LINE」が展開する決済サービスです。

グループで「PayPay」を展開するZホールディングスと、「LINE Pay」を手掛けるLINEにより、2022年4月を目標に「PayPay」と「LINE Pay」を「PayPay」に統合すべく協議が開始されています。このため、日本国内における「LINE Pay」の今後の展開は協議の進展次第ということになります。

現時点での「LINE Pay」の特徴は以下のとおりです。

8,900万を超える国内LINEユーザーにアプローチ

日本国内におけるLINEの月間アクティブユーザー数は8,900万となっています。多くの日本人の日常に溶け込んでいるアプリですので、抵抗感なく決済機能も利用するユーザーが多いことが想定されます。

LINE公式アカウントとの連携

LINE公式アカウントを利用した販促メッセージ、クーポンやショップカードといった機能も充実。集客したユーザの決済手段として、「LINE Pay」を活用することができます。

現金でチャージが可能

「PayPay」と同様、現金でチャージが可能です。(銀行口座、セブン銀行ATM、ローソンでLINE Pay カード、ファミリーマートのFamiポート)。クレジットカードを使いたくない人や、保有できない若年層でも利用が可能なサービスになっています。

まとめ

まとめです。今回は、主要なID決済の種類とそれぞれの特徴を見てきました。

現在、ID決済自体はネットショップになくてはならない決済手段となっています。クレジットカード情報の入力が不要であることが顧客の利便性を高め、新規顧客獲得やCVR(購買率)の改善につながることがお分かりいただけたかと思います。

あとはご自身のネットショップに、どのID決済サービスが効果的なのかを見極める必要があります。必要に応じて複数を利用することも出てくるかと思います。それぞれの特徴をよく理解してID決済サービスを活用していきましょう。

今回は以上となります。最後までご覧いただきありがとうございました。

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