【基本情報技術者試験】特徴や難易度は?取得するメリット・デメリット

基本情報技術者試験 特徴やメリット・デメリット

基本情報技術者試験は、IT業界に従事する人や情報系の学問を学ぶ人が目指す試験です。その名の通りIT分野の基本的な内容が出題されますが、合格率は決して高くないため一定の勉強期間が必要です。

この記事では、基本情報技術者試験の特徴や難易度、メリット・デメリットを解説しています。IT業界の就職を考えている人にとっては避けられない試験ですので、最後まで読んでみてください。

目次

基本情報技術者試験とは

基本情報技術者試験
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:基本情報技術者試験 より引用

基本情報技術者試験とは基礎的なIT知識を確認するための国家資格のひとつです。FE(Fundamental Information Technology Engineer Examination)と略称表記される場合もあります。

IT企業では入社後に取得を推奨している会社が多く、ITエンジニアや情報系の学部で学ぶ人にとって基本的な知識の土台となります。

基本情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門

基本情報技術者試験の試験区分
試験区分 IPA 独立行政法人 情報処理推進機構より引用

基本情報技術者試験はITエンジニアの登竜門にあたる試験であるため、「難易度が高すぎる」というわけではありません。

IPA(情報処理推進機構)が定めるレベル区分では、レベル1にITパスポート、レベル2に基本情報技術者試験が位置付けられています。過去問を中心に勉強すれば、実務経験なしの初学習者でも合格できるレベルです。

基本情報技術者試験の難易度

基本情報技術者試験の多肢選択式で総合得点の60%以上が合格ラインです。合格率は20〜30%です。

決して高い合格率ではないため、簡単に受かる試験ではないと思ってよいでしょう。

試験内容はソフトウェアからプログラム言語まで出題されるため、ITの幅広いジャンルを勉強して備える必要があります。

基本情報技術者試験は、その名の通り「基本」の知識を確認するための試験ですが、「基本」とはいっても、ある程度の勉強時間が必要になります。特に初心者の人にとっては、ある程度継続的な勉強時間が必要となります。

基本情報技術者試験はこんな人におすすめ

基本情報技術者試験は、ITエンジニアを目指している大学生や若手社会人・ITエンジニアに就職した1〜3年目などの人におすすめの資格です。

学生や第二新卒・20代前半であればIT業界への転職の際のアピールポイントになります。また、就職後も企業で資格取得を推奨されている・合格後は手当が支給される企業も多いです。

基本情報技術者試験はこんな人におすすめ

  • IT業界に就職・転職したい大学生や若手社会人
  • ITエンジニアに就職した1年目〜3年目くらいの人
  • ITパスポート試験に合格して次のIT資格を取得したい人

他の試験との違い
基本情報技術者試験とよく比較される試験に、ITパスポート試験があります。ITパスポートはIT技術者に関わらずすべての会社員に向けて行われる試験です。
一方、基本情報技術者試験はIT技術者のための試験です。基本情報技術者はシステムエンジニアとして新卒入社した人が初めに取得を目指すことが多い試験です。
また、MOSなどマイクロソフト社が認定する資格も有名ですが、MOSは民間資格です。たとえばMOSは、ExcelやWord、Power Pointなどの特定のソフトウェアに関する試験です。ITパスポートはIT分野全般のスキルを確認する試験であるため、MOSとは試験領域が異なります。

基本情報技術者試験を受けるメリット

基本情報技術者試験を受けるメリットには、以下のようなものがあります。

基礎的なIT知識が身に付く

基本情報技術者試験はIT分野から幅広い内容が出題されます。そのため、基本情報技術者試験の勉強をすることで一定の基礎的なIT知識が身に付くでしょう。

IT業界に入ってから常識となる知識を学べるため、IT業界の就職・転職に興味がある方は取得を検討するとよいでしょう。

新卒就職や第二新卒の転職で有利になる

新卒採用試験で基本情報技術者資格を持っていると、企業に「ITに関心がある人」という印象を与えられる可能性があります。新卒での就職活動や第二新卒・20代前半の転職においては十分アピールポイントになるでしょう。

また、IT系の企業の中には、「入社後、何年以内に基本情報技術者試験に合格すること」を推奨している企業も多いです。企業によっては資格手当を支給するところもあります。

IT企業を目指す人は、入社前から取得の準備をしておいても損はないでしょう。

基本情報技術者試験を受けるデメリット

基本情報技術者試験の内容はIT業界で働くにあたって基礎となる知識であるため、受けることによるデメリットというのはありません。しかし、資格をとったからといって「期待していたような効果がなかった」と思うことはあるかもしれません。

ここでは、基本情報技術者試験のデメリット(思ったような効果がでない点)を紹介します。

実務に直接活かせるとは限らない

基本情報技術者試験はITの基本を学ぶことができますが、税理士資格や弁護士資格のように「資格取得者しかできない業務」はありませんし、勉強したことがITエンジニアでの実務に活かせるとは限りません。

IT業界で働く場合、基本情報技術者試験を通して習得する知識以上に幅広い知識や実務スキルが求められます。

そのため、基本情報技術者資格を持つことが新卒採用のアピールポイントにはなっても、資格があるからといって実務で即活用できるわけではないことを覚えておきましょう。

即戦力を求める企業の場合は採用で有利にならないことが多い

30代を超えてくると即戦力を求める中途採用が多くなってきます。即戦力を求める中途採用では、基本情報技術者に資格を持っていても実務経験がなければ有利に働くことは少ないと考えてよいでしょう。

新卒採用や第二新卒・20代では基本情報技術者試験を持っているとアピール材料になる可能性がありますが、30代以上の中途採用は即戦力として期待されているためです。

またキャリアアップを目指しての転職の場合も、基本情報技術者は専門性をアピールできるほどの資格ではありません。面接で専門性をアピールしたい場合は、プロジェクトマネージャ試験やシステム監査技術者試験など、よりレベルの高い資格が必要だと思ったほうがよいでしょう。

基本情報技術者試験は独学でも受かる?

基本情報技術者試験はオンラインの講座などで勉強することもできますが、未経験者でも独学で十分合格レベルに到達できます。独学の場合は、以下の2点を意識しながら勉強を進めましょう。

勉強時間の目安は200時間

初心者が資格に合格するために必要な勉強時間は200時間と言われています。1日3時間勉強しても2ヶ月必要になるため、計画的に勉強しましょう。試験日程から逆算して勉強のスケジュールを設定してください。

過去問を繰り返し解く

基本情報技術者試験の勉強のために、多くのテキストを買う必要はありません。知識を学ぶための参考書で勉強し、過去問を繰り返せば合格を目指せます。午前と午後と試験の内容が異なるため、それぞれ勉強することが必要です。

基本情報技術者の試験内容

基本情報技術者試験は午前と午後の部に分かれます。令和2年度より、筆記方式からコンピューターを利用するCBT方式に変更となりました。IPA(情報処理推進機構)のサイトから申込ができます。

なお、2023年4月の試験から、実施形式、出題形式、範囲が若干変わります。下記に主な変更点と交えて試験内容を解説します。変更点については「情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について」をご参照ください。

実施方式について

これまで年2回(上期・下期)の試験でしたが、2023年から受験者が都合の良い日時を選択できるようになります。

(1)実施方式・採点方式
FE、SGを随時受験できるように変更します。採点は、IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づく方式に変更します。

情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について

出題形式

出題形式は、従来は午前150分/午後150分でしたが、2023年4月から、午前90分/午後100分にコンパクト化され、問題数も下記の通り、変更されます。

(2)出題形式
小問形式への変更による午後問題のコンパクト化、出題数・解答数の変更などによって、試験時間を30~40%短縮します。

情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について
従来(変更前)変更後(2023年4月〜)
午前試験
(小問)
試験時間:150分
出題数:80問
解答数:80問
科目A試験
(小問)
試験時間:90分
出題数:60問
解答数:60問
午後試験
(大問)
試験時間:150分
出題数:11問
解答数:5問
※選択問題あり
科目B試験
(小問)
試験時間:100分
出題数:20問
解答数:20問
※選択問題なし(全問必須)

出題範囲

出題範囲は、午前は従来と同じである一方、午後については2023年4月から、「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(擬似言語)」の二つの分野を中心にした構成に、およびプログラミング言語は普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う擬似言語に変更されるようになりました。

(3)出題範囲

科目B試験
これまで必須解答としていた「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(擬似言語)」の二つの分野を中心にした構成に変更します。
また、個別プログラム言語(C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト)による出題は、普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う擬似言語による出題に統一します。

情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について
科目A試験現在の午前試験に準じます。
科目B試験これまで必須解答としていた「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム(擬似言語)」の二つの分野を中心にした構成に変更します。
また、個別プログラム言語(C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト)による出題は、普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う擬似言語による出題に統一します。

午前の部

午前の部は、以下の3つのジャンルから出題されます。大部分がテクノロジ系から出題されるため、まずはテクノロジ系を重点的に勉強するのがよいでしょう。

テクノロジ系コンピュータ科学基礎、ハードウェア、稼働率、ソフトウェア、論理回路、データベース(SQL、正規化)、ネットワーク、セキュリティ
ストラテジ系DFD、開発規模、工数
マネジメント系全体計画立案、業務改善、契約タイプ、経営戦略、ABC分析、利益や費用の計算、関係法規

午後の部

午後の部は以下の内容が出題されます。以前は必須の問題と選択制の問題がありましたが、2023年4月からは黄色マーカー部分が中心に出題(全て必須)されるようになります。

出題分野
情報セキュリティ
ソフトウェア・ハードウェア、データベース、ネットワーク、ソフトウェア設計、プロジェクトマネジメント、経営・関連法規など
データ構造及びアルゴリズム
C言語、Java、Python、アセンブラ言語、表計算

まとめ

基本情報技術者試験はITエンジニアにとっての登竜門のような試験です。

新卒採用や第二新卒・若手においての転職でのアピールポイントになり、多くのIT企業では取得を推奨しているため、IT業界への就職を考えている場合は取得を目指して損はないでしょう。

今回は以上になります。最後までご覧いただきありがとうございました。

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