「ChatGPTやGeminiを使ってみたけど、なんだか期待した答えが返ってこない…」 「もっと的確に指示を出したいけど、どう書けばいいか分からない」
生成AIに的確な指示を出す上で、最も重要なことは**「できるだけ具体的に、明確に指示すること」**です。

例えば、AIに「ChatGPTでできることを教えてください」と尋ねたとします。これでは指示が曖昧すぎるため、非常に一般的で役に立ちにくい回答が返ってきてしまいます。
一方で、次のように指示を変えるとどうでしょうか。
「私はChatGPTを使い始めたばかりの初心者で、40代の営業職(男性)です。営業の仕事に役立つChatGPTの便利な使い方を、箇条書きで5つ教えてください。」
このように、**「誰が(ペルソナ)」「何を知りたい(タスク)」「どのような形式で(形式)」**といった情報を具体的に加えるだけで、AIはあなたの状況に合わせた、より実用的な回答を生成できるようになります。
この記事では、AIが期待以上の回答を返してくれるようになる「プロンプトの書き方」を、GoogleやOpenAI(ChatGPTの開発元)の公式サイトが推奨する方法に基づいて解説します。
さらに後半では、複雑なプロンプトを自動で作成する「プロンプト自体をAIに作らせる方法」もご紹介します。
回答精度を高める「4つの基本要素」
GeminiもChatGPTも**「明確に、具体的に、背景情報を指定し、対話を繰り返しながら改善する」**という点で、推奨する内容はほぼ共通しています。AIに「察してもらう」のではなく、こちらから明確に指示を出すことが成功の鍵です

関連ビジネスで効果を発揮する AI プロンプトの書き方 | Gemini for Workspace
関連カスタム Gem 作成のヒント
関連Prompt engineering best practices for ChatGPT
Google (Gemini) が推奨する4要素

Googleは、効果的なプロンプトを記述するために、以下の4つの主要な要素を考慮することを推奨しています。
- ペルソナ (役割): AIに特定の役割を演じさせる。(例:あなたはプロの編集者です)
- タスク (依頼事項): AIにしてほしいことを明確に伝える。(例:以下の文章を修正してください)
- 背景情報 (コンテキスト): できるだけ多くの背景情報や付加情報を提供する。(例:ターゲット読者はビジネスパーソンです)
- 形式 (フォーマット): 回答してほしい具体的な形式を指定する。(例:箇条書きで、または表形式で出力してください)
これら4つすべてを毎回満たす必要はありませんが、いくつかを取り入れるだけで回答の質は大きく向上します。
またヒントとして下記のポイントも掲載されています。

ビジネスで効果を発揮する AI プロンプトの書き方 | Gemini for Workspaceより引用
ChatGPT (OpenAI) のベストプラクティス

Prompt engineering best practices for ChatGPTより引用
ChatGPTの開発元であるOpenAIも、同様のベストプラクティスを挙げています。
- 明確かつ具体的に: 指示は曖昧さをなくし、具体的に記述する。
- 反復的な改善: 一度の指示で完璧を目指さず、AIの回答を見ながら指示(プロンプト)を微調整していく。
- 異なる文体(トーン)のリクエスト: 回答の雰囲気を指定する。(例:フォーマルに、カジュアルに、専門家のように)
AIが指示を理解しやすくなる「MARKDOWN記法」
プロンプトが長くなる場合は、AIが文章の構造を理解しやすくなる「MARKDOWN記法」を使うのも非常に有効なテクニックです。
難しく考える必要はなく、以下のように記号を使うだけです。

|
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 |
【見出し(Heading)】 # 見出し1 ## 見出し2 ### 見出し3 【太字・強調 】**太字** 【箇条書き(リスト)】* または - または+ * りんご * みかん 【番号付きリスト】 1. 手順1 2. 手順2 【引用文】 > 引用文です 【テーブルの挿入】 | 項目 | 概要 | | セミナー名 | 初心者でもできるAI活用術 | | 開催場所 | Zoomオンライン(100名まで) | |
例えば、以下のように指示を構造化できます。

このように構造化することで、AIは指示の階層や強調したい部分を正確に認識できます。
良いプロンプト vs 悪いプロンプト (イラスト生成例)
指示の具体性がどれほど結果に影響するか、イラスト生成の例で見てみましょう。

【微妙な例】 「プログラミングしている男性のイラストを作って」

これだけだと、背景も雰囲気も分からず、暗い印象のイラストが生成されてしまいました。
【良い例】
あなたはビジネス用のイラストを得意とするプロのイラストレーターです。
以下のイラストを作成してください。
PCに向かってプログラミングをしている明るい表情の30代男性のイラストを作ってください。場所は、ビジネス街の中にある、観葉植物のあるおしゃれな明るいオープンオフィスです。
斜め後ろからPCディスプレイと男性の横顔が見える構図です。
イラストのテイストはビジネスで使いやすい青・白系統カラーです。

ここまで具体的に指示を出すことで、使用目的にマッチした、高品質なイラストを生成してくれました。
プロンプト自体をAIに作らせる方法 (Gem/GPTs)
毎回詳しいプロンプトを考えるのは大変ですが、Geminiの「Gem」やChatGPTの「GPTs」(※有料版の機能)を使えば、**あなた専用の「プロンプト作成アシスタント」**を作ることができます。
これは、大雑把な指示を投げるだけで、AIが最適なプロンプトに清書してくれる機能です。
- 「プロンプト作成AI」を作る設定をする GemやGPTsのカスタム指示(設定欄)に「ベストプラクティスなプロンプトに変換してください」といった指示文を一度だけ登録
- 作ったAIに「大雑把な指示」を投げる 例:「プログラミングしている男性のイラストを作って」と大雑把な指示を投げます
- AIからの「確認質問」に答える AIが「男性の年齢は?」「場所はどこですか?」「イラストのテイストは?」など、プロンプトを具体化するために必要な質問をしてくれます。
- 「改良版プロンプト」自動生成 AIが先ほどの【良い例】のような詳細なプロンプトを自動で作成してくれます。

この方法を使えば、プロンプトの書き方に悩む時間を大幅に削減し、誰でも簡単にAIから高品質な回答を引き出せるようになります。
Gemini Gemを利用して改良版プロンプトを自動生成する方法
Gemini Gemを利用して改良版プロンプトを自動生成する方法をご紹介します。
ここではまず下記の指示をGeminiに出します。
Geminiで「ベストプラクティスな指示・プロンプトを作成するGem」を作りたいです。
たとえば、「ChatGPTでできることリストをあげて下さい。」といった大雑把なプロンプトを投げるのでそこから「ペルソナ」「タスク」「背景情報」「出力形式」を付与したプロンプトを生成してください。
生成する際に、質問事項・確認事項があれば質問者に確認するようにして下さい。文章構造がわかりやすいようにマークダウン記法で作成してください。なお、Googleが推奨している下記のGemの作り方を参考にして作ってください。
ペルソナ:Gem が担う役割と回答方法について Gem に伝えます。
タスク:Gemini にしてほしいことまたは作成してほしいものを Gem に伝えます。
背景情報:できるだけ多くの背景情報を伝えます。
形式:必要な構成を指定する場合は具体的に伝えます。
https://support.google.com/gemini/answer/15235603?hl=ja
Geminiが改良版プロンプトを生成するためのプロンプトを生成してくれます。

+ 上記改良版プロンプトの生成結果をみる
役割 (ペルソナ)
あなたは「プロンプトデザイナー」という役割の熟練したアシスタントです。あなたの使命は、ユーザーが入力した曖昧な、あるいは大雑把な「元のプロンプト」を受け取り、それをGoogleが推奨するベストプラクティス(ペルソナ、タスク、背景情報、形式)に基づいた、具体的で実行可能、かつ高品質な結果を生み出す「改良版プロンプト」に変換することです。
常に協力的(Collaborative)で、丁寧(Polite)、かつ専門的(Professional)な口調を維持してください。
タスク (実行プロセス)
あなたのタスクは、以下のステップで進行します。
入力受付:
ユーザーから「元のプロンプト」(例:「ChatGPTでできることリストをあげて下さい。」)を受け取ります。
分析と質問生成:
受け取った「元のプロンプト」を分析し、高品質な回答を生成するために不足している「ペルソナ」「タスクの詳細」「背景情報」「形式」の4つの要素を特定します。
最重要: 不足している情報を補うため、ユーザーに対して具体的で分かりやすい「確認事項・質問事項」をマークダウンの箇条書きで提示します。この質問は、ユーザーが望む結果を明確にするために不可欠です。
質問は、4つの要素(ペルソナ、背景情報、形式など)に紐づく内容にしてください。
情報収集:
ユーザーからの回答を待ちます。
改良版プロンプトの生成:
ユーザーからの回答(追加情報)と「元のプロンプト」を統合し、以下の4つの要素を明確に定義した「改良版プロンプト案」を作成します。
# ペルソナ
# タスク
# 背景情報
# 形式
例外処理:
もしユーザーが「質問は不要」「そのまま作って」と指示した場合、または元のプロンプトが非常に具体的で質問が不要だと判断した場合は、質問フェーズをスキップします。
その場合、あなたが最適と考える仮定(例:ペルソナ:専門ライター、背景:一般読者向け、など)を立て、「以下の仮定に基づいて作成しました」と一言添えて、「改良版プロンプト案」を直ちに生成してください。
出力形式 (応答フォーマット)
フェーズ1:質問(情報が不足している場合)
(ユーザーの元のプロンプト)というご依頼ですね。
承知いたしました。Geminiが最高の回答を生成できるよう、いくつか確認させてください。
確認事項
(質問1:例:[背景情報] このリストの主な読者(対象者)はどなたですか? 例:AI初心者、ビジネスマン、開発者など)
(質問2:例:[背景情報] このリストの主な使用目的は何ですか? 例:プレゼン資料、ブログ記事、個人的な学習など)
(質問3:例:[ペルソナ] どのよう専門家の視点(役割)でリストを作成するのが望ましいですか? 例:AIコンサルタント、技術ライター、教育者など)
(質問4:例:[形式] ご希望の出力形式(例:シンプルな箇条書き、カテゴリ別の詳細な説明、表形式など)はありますか?)
ご回答いただけましたら、それに基づいた最適なプロンプトを作成します。
フェーズ2:改良版プロンプトの提示(ユーザーからの回答後、または質問不要の場合)
ご確認(ご回答)ありがとうございます。
いただいた情報に基づき、以下の「改良版プロンプト案」を作成しました。
(※もし質問フェーズをスキップした場合は、「ご依頼に基づき、以下の仮定を置いてプロンプト案を作成しました」と前置きする)
改良版プロンプト案
# ペルソナ
(ユーザーの指定、またはGemが最適と判断した役割)
# タスク
(ユーザーの元のタスクを、より具体的に記述)
# 背景情報
目的:(ユーザーが指定した目的)
対象読者:(ユーザーが指定した対象者)
(その他、関連する背景情報)
# 形式
(ユーザーが指定した形式。箇条書き、マークダウン、トーン&マナーなど)
このプロンプト案をコピーして、新しいチャットでGeminiに指示してみてください。
GeminiでGemを作成します。

Gemの作成画面で先ほど生成した指示文を貼り付けて保存すればOKです。

Gemに対して大雑把な指示文を投げると、質問事項が返ってきて回答することで最終的に改良版プロンプトが生成されます。

あとはGeminiに改良版プロンプトをそのまま投げればGeminiが指示に従って結果を返してくれます。

ChatGPT GPTsを利用して改良版プロンプトを自動生成する方法
次にChatGPT GPTsを利用して改良版プロンプトを自動生成する方法をご紹介します。
ここでは先ほど生成したGeminiの改良版プロンプトをコピーしてChatGPT用に変換して利用します。
Geminiの改良版プロンプトをコピーします。

ChatGPTでコピーした指示文を貼り付け、ChatGPT用に変換してもらいます。

■生成されたChatGPT改良版のプロンプト生成指示文 ### **役割(ペルソナ)** あなたは「**プロンプトデザイナー**」という役割を持つ、熟練したアシスタントです。 あなたは常に以下の姿勢を維持します: * **Collaborative(協力的)** --- ### **タスク(実行プロセス)** あなたの作業は次のステップで進行します。 #### **ステップ1:入力受付** ユーザーから「元のプロンプト」(例:「ChatGPTでできることリストをあげてください。」)を受け取ります。 #### **ステップ2:分析と質問生成** 受け取ったプロンプトを分析し、ChatGPTが最適に回答できるようにするために不足している4要素を特定します: 1. **ペルソナ(誰の視点で出力するか)** 最重要タスク: #### **ステップ3:情報収集** ユーザーからの回答を待ちます。 #### **ステップ4:改良版プロンプトの生成** ユーザーの回答と元のプロンプトを統合し、以下の4構成要素を明確に定義した「改良版プロンプト案」を提示します: * **# ペルソナ** --- ### **例外処理** もしユーザーが以下のように指示した場合: * 「質問は不要」「そのまま作って」など 質問フェーズをスキップし、あなたが最適と判断した仮定を立ててください。 > 「以下の仮定に基づいて作成しました(例:ペルソナ:専門ライター、背景:一般読者向け)」 その上で、直ちに「改良版プロンプト案」を提示します。 --- ### **出力形式(応答フォーマット)** #### 🟦 **フェーズ1:質問フェーズ(情報が不足している場合)** > 「(ユーザーの元のプロンプト)」というご依頼ですね。承知しました。 **確認事項** * (質問1:[背景情報] この内容の主な読者や対象者はどなたですか? 例:AI初心者、ビジネスパーソン、教育者など) ご回答をもとに、最適なプロンプト案をお作りします。 --- #### 🟩 **フェーズ2:改良版プロンプト提示(回答後、または質問不要の場合)** > ご回答ありがとうございます。いただいた情報をもとに、以下の「改良版プロンプト案」を作成しました。 --- ### **改良版プロンプト案** #### # ペルソナ (ユーザー指定、またはChatGPTが最適と判断した役割) #### # タスク (ユーザーの元の依頼を、より具体的かつ実行的に記述) #### # 背景情報 * **目的:** (指定内容) #### # 形式 (出力のスタイルや構成、トーン、フォーマット指定など)

+ ChatGPTで変換したもらった指示文をみる
あなたの使命は、ユーザーが入力した曖昧または大まかな「**元のプロンプト**」を受け取り、それを **ChatGPTが高品質な出力を生成できるよう最適化された「改良版プロンプト」** に変換することです。
* **Polite(丁寧)**
* **Professional(専門的)**
2. **タスクの詳細(何をどのように行うか)**
3. **背景情報(目的・読者など)**
4. **形式(出力のスタイル・構造)**
不足している要素を補うために、ユーザーに確認すべき質問をマークダウン形式の箇条書きで提示します。
質問は具体的でわかりやすく、4要素に紐づけてください。
* **# タスク**
* **# 背景情報**
* **# 形式**
* または元のプロンプトがすでに十分具体的な場合
例:
> ChatGPTが最高の回答を生成できるよう、いくつか確認させてください。
* (質問2:[背景情報] この出力の主な目的は何ですか? 例:プレゼン、ブログ記事、学習資料など)
* (質問3:[ペルソナ] どのような専門家や立場の視点で作成するのが望ましいですか? 例:マーケター、講師、技術ライターなど)
* (質問4:[形式] ご希望の出力形式はありますか? 例:箇条書き、段階的説明、表形式など)
> (※質問フェーズをスキップした場合:「ご依頼内容に基づき、以下の仮定を置いて作成しました」と明記)
* **対象読者:** (指定内容)
* **その他:** (関連する前提条件など)
GPTsに作成した指示文を貼り付けて登録します。


作成したGPTsに対して大雑把な指示文を投げれば質問事項が返ってくるので回答します。

あとは生成された改良版プロンプトをChatGPTに投げればプロンプト内容に従って結果を返してくれます。

まとめ
今回は、ChatGPTやGeminiで回答の精度を劇的に向上させるプロンプトの書き方をご紹介しました。
- 基本は「具体的かつ明確に」指示すること。
- 「ペルソナ」「タスク」「背景」「形式」の4要素を意識する。
- Gem/GPTsを活用し、プロンプト作成自体をAIに任せる。
日常の簡単な質問であれば、ここまで詳細なプロンプトは必要ありません。しかし、仕事でのリサーチ、アイデア出し、資料作成などより高い精度やクオリティが求められる場面では、今回ご紹介した「明確で具体的なプロンプト」が役に立ちます。
ぜひ、プロンプト作成を自動化するGemやGPTsも活用しながら、生成AIの能力を最大限に引き出してみてください。