WordPressはPHPをベースに作ったソフトウェアで、ご利用のPHPバージョンが古くなってくるとバージョンを変更(バージョンアップ)する必要がでてきます。
今回はWordPressにおける、PHPバージョンアップの必要性と安全にアップデートするための手順についてをご紹介します。
この記事を読むと分かること
- PHPバージョンをアップデートするメリットについて
- 安全にPHPをアップデートする為にやっておくべき事前準備について
- PHPバージョンを切り替える方法について
もくじ
PHPのバージョンを上げることで最新のWordPress環境で快適に動くようになり、パフォーマンスの向上やセキュリティ向上につながりますが、反面ご利用の環境(WordPress、プラグイン、テーマ)によってはPHPのバージョンを上げることで相性問題などの不具合が発生する可能性もあります。
本手順は特定の環境下での手順を示したものであり、ご利用の環境によってはその他の手順が必要になる場合もありますので、自己責任でお願いいたします。
WordPressでPHPバージョンをアップデートする必要性
PHPはソフトウェアを作るためのプログラミング言語で、プログラミング言語自体にもバージョンが存在します。
WordPressはPHPをベースに作ったソフトウェアになりますので、PHPが古いと最新のWordPressが正常に動作しなくなる恐れもあります。
PHP が重要な理由
WordPress はプログラミング言語「PHP」で実装されています。この PHP のバージョン設定は、レンタルサーバー会社によりサーバー側で行われています。WordPress 本体やテーマ、プラグインの最新バージョンを使用することの重要性は理解されていると思いますが、PHP の最新バージョンを使用することも同じように重要です。
Update PHP | WordPress.org 日本語¥より引用
たとえば、数年前に構築したWordPressをずっと放置してると、PHPのバージョンが古いままになっていていることがよくあります。
PHPが古すぎると、WordPress本体やプラグイン・テーマが最新バージョンにアップデートできなかったり、バージョンアップすると不具合が起きることもあるので、その場合はサーバー側でPHPのバージョンも最新に上げる必要があります。
古いバージョンのPHPを使用していると「PHPの更新を推奨」といったアラートがWordPressのダッシュボード上に表示されます。
■(参考)「PHPの更新を推奨」アラート
おすすめのPHPバージョン
2021年9月時点だとPHP7.4が多く使われているため、比較的多くの環境で対応していて無難なのでおすすめです。
なお、WordPressの推奨環境は7.4以上なので、より最新の8.x環境にするとより処理速度も速くなることが見込まれます。
反面、最新すぎると、ご利用のプラグインやテーマなどがまだ対応していない場合、不具合が起きることもありますのでご注意ください。
WordPress を実行するには、以下のホスティング環境を推奨します。
PHP バージョン 7.4 以上。
・・・中略
注意: 古いバージョンの PHP や MySQL しか使えない古い環境にいる場合でも、WordPress は PHP 5.6.20以上及び MySQL 5.0以上で動きます。しかしこれらの古いバージョンは既に公式でサポートが終了しており、サイトを脆弱性にさらす危険性があります。
要件 | WordPress.org 日本語より引用
下記はエックスサーバーの場合です。PHPバージョン切り替えを選択します。
対象のドメインを選択して、PHPを(推奨の)最新バージョンに変更します。(※)万一不具合が起きた時に戻せるように変更前のバージョンはメモしておきましょう。
PHPをバージョンアップするメリット
また、PHPをバージョンアップするメリットはサイトの処理速度改善やセキュリティ向上という側面もあります。
PHPバージョンをアップデートするメリット
- Web サイトの表示速度・パフォーマンスが改善される
- Webサイトのセキュリティが向上する
Webサイトの表示速度・パフォーマンスが改善される
まず1つ目のメリットは、Webサイトの表示速度・パフォーマンスが改善されるという点です。
PHPの最新バージョンは前のバージョンよりもより効率的に動作するように改善されている為、Web サイトの表示速度が改善されます。
以下はWordPressに特化したサーバーホスティング会社のKinstaが行った調査結果ですが、WordPress5.6においてPHPのバージョンを古いバージョンから新しいバージョンに切り替えていくと、秒間リクエスト数が大きくなるという結果が出ています。
引用元: PHP 5.6、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4または8.0のベンチマーク(2021年)(https://kinsta.com/jp/blog/php-benchmarks/)
Webサイトのセキュリティが向上する
2つ目のメリットは、Webサイトのセキュリティが向上するという点です。
PHPも日々新しいバージョンになるにつれ、昔のバージョンにあった脆弱性などが修正されています。
最新のセキュリティ機能が実装されている最新版のPHPバージョンにアップデートしておくことで、PHPプログラム事態に潜む脆弱性を修正することができます。
ただし、php8.xなど新しすぎると逆にWordPressやプラグインがまだ対応しきれていなくてエラーが起きるというリスクもありますので、無難なのは「要件 | WordPress.org 日本語」に記載の主流バージョンにしておくのがおすすめです。
安全にPHPをアップデートする為にやっておくべき事前準備
次に安全にPHPのバージョンをアップデートする為にやっておくべき事前準備についてをご紹介します。
PHPバージョンをアップした変更した後に「WordPress画面が真っ白になって表示されなくなった。」といったトラブルが起こることが多々ありますので、そういったトラブルを防ぐためにも以下の手順は必ず踏んでおきましょう。
PHPのバージョンを切り替える前にやっておくべき事前準備
- (STEP. 1)サイトのバックアップを取っておく
- (STEP. 2)WordPressやテーマ、プラグインなどのバージョンを最新版にしておく
- (STEP. 3)PHPの互換性をチェックしておく
(STEP. 1)サイトのバックアップを取っておく
まず最初にやっておくべきことは、サイトのバックアップを取っておくことです。
サイトのバックアップを取る方法はいくつかありますが、WordPressサイトの場合は以下のようなプラグインを使用すると簡単にバックアップを取得することが可能です。
バックアッププラグインの使用方法については本記事では割愛しますが、気になった方は以下の記事をあわせてご覧下さい。
(STEP. 2)WordPressやテーマ、プラグインなどのバージョンを最新版にしておく
サイトのバックアップが取得できたらWordPressやテーマ、プラグインなどのバージョンを最新版にしておきましょう。
古いバージョンのテーマやプラグインを使っている場合、テーマやプラグインの方が新しいPHPに対応していないこともあり、それが不具合を起こす原因になることがあります。
ですのでPHPのバージョンをアップデートされる際は、事前にこれらのバージョンも最新版にしておくと良いでしょう。
(STEP. 3)PHPの互換性をチェックしておく
テーマやプラグインのバージョンアップができたら、念のためPHPの互換性をチェックしておくとより安全です。
PHPの互換性をチェックするプラグインとしては「PHP Compatibility Checker」というプラグインがあります。
「プラグイン」→「新規追加」画面から「PHP Compatibility Checker」と検索し、出てきたこちらをインストール、有効化します。
プラグインが有効化されると、左サイドバーの「ツール」の中に「PHP Compatibility」という項目が追加されるので、こちらをクリックします。
次に互換性の確認をしたいPHPのバージョンを選択し、スキャン対象を「有効化中のプラグイン・テーマのみ」にするか「すべてのプラグインとテーマ」にするかどうかを選択してから「サイトをスキャン」をクリックします。
「サイトをスキャン」をクリックしてから少し時間が経つと、少し下へスクロールしたところにプラグイン・テーマ毎の互換性レポートが表示されます。
緑色の文字で「互換性あり」と表示されているものは問題がありませんが、「警告」あるいは「エラー」と書かれているものは(STEP. 4)で紹介する方法で互換性の問題を修正する必要があります。
なお、「PHP Compatibility Checker」によるチェックは完璧ではなく、項目やフラグを誤って判定する場合もあるようです。
PHP の互換性をチェックする: PHP Compatibility Checker プラグインをインストールし、テーマやプラグインの互換性をチェックしてください。このプラグインによるチェックも完璧ではなく、項目やフラグを誤って判定する場合もありますが、ほとんどのケースで正しく動作します。
引用元: PHP バージョンの更新(https://ja.wordpress.org/support/update-php/)
上の例では「All in One WP Migration」というプラグインでエラーが表示されていますが、プラグインの紹介ページを見ると「5.2.17~8.0.10のPHPバージョンの互換性がある」という文言を見つけたので、おそらくこちらはエラーだと考えられます。
If you have WordPress version between 3.3 and 5.8.1 and PHP version between 5.2.17 and 8.0.10, you are good to go. All-in-One WP Migration also supports all versions of MySQL and MariaDB.
引用元: All-in-One WP Migration(https://ja.wordpress.org/plugins/all-in-one-wp-migration/)
もし、互換性のないプラグイン・テーマが見つかった場合は下記の方法で問題を修正しましょう。
- 別の互換性のあるプラグインやテーマで代替する
- そのプラグインやテーマが最新のPHPバージョンに対応されるのを待つ
PHPのバージョンを切り替える方法
事前準備が終わったら実際にPHPのバージョンを切り替えていくのですが、この方法はご利用のレンタルサーバー毎に異なります。
下記はエックスサーバーの場合です。PHPバージョン切り替えを選択します。
対象のドメインを選択して、PHPを(推奨の)最新バージョンに変更します。(※)万一不具合が起きた時に戻せるように変更前のバージョンはメモしておきましょう。
まとめ
まとめです。今回はPHPバージョンアップの重要性と安全にアップデートする方法についてをご紹介しました。
WordPressを運営して最初の頃は問題なくても、1年2年時計化すると当初使っていたPHPのバージョンが古くなってきて、WordPressで警告表示される場合があります。
上記のような場合は、PHPのアップデートを行うことで、最新のWordPress環境で快適に動くようになり、Webサイトのパフォーマンスやセキュリティも向上させる利点があります。
今回は以上になります。最後までご覧頂き、ありがとうございました。
個別指導形式のスクールでは、自分の知りたいことをピンポイントで学習・達成でき、自分で更新もできるというメリットもあります。
教室の無料事前相談もしておりますので、まずはお気軽にご登録ください。
YouTubeチャンネル開設しました!
最大月間50万PVの当ブログをベースに、Youtube動画配信にてWordPress、ホームページ作成、ブログのことについてお役立ち情報を随時配信していきます。
ご興味ある方はぜひチャンネル登録をしていただけますと幸いです。