WordPressは2022年2月にリリースされたバージョン5.9より、新たに「フルサイト編集」と呼ばれる機能が追加されました。
しかし、フルサイト編集は全てのテーマで使える訳ではなく、この機能に対応しているテーマを「ブロックテーマ」と言います。
ブロックテーマの数は従来のテーマ(クラシックテーマ)に比べると数が少なめですが、国内でも少しずつ増えてきています。
今回は、ブロックテーマと従来型のクラシックテーマの違いや、国内の有名なブロックテーマをいくつか紹介します。
本記事は2023年12月時点に執筆しています。今後WordPressのバージョンが上がるにつれ、本記事に記載の内容と仕様や機能が異なってくる可能性もあるのであらかじめご了承ください。
ブロックテーマはフルサイト編集対応テーマ
ブロックテーマとは、WordPressバージョン5.9よりリリースされた新機能「フルサイト編集」に対応しているテーマのことを言います。
ブロックテーマではフルサイト編集機能によって、ヘッダーやフッター、ブログホームや404ページなどが全てブロックエディターベースで編集できるようになっています。
なお、ブロックテーマ以前のテーマは区別するためにクラシックテーマと呼ばれるようになっています。
「ブロックエディター対応のテーマ=ブロックテーマ」ではないので注意
「ブロックエディター対応テーマ」と「ブロックテーマ」は言葉が似ていますが、両者は異なるためご注意ください。
ブロックテーマはブロックエディターに対応していることはもちろんのこと、ヘッダーやフッター、ブログホームや404ページなどが全てブロックエディターベースで編集できるようになっており、テーマそのものの内部構造も全く異なっています。
従来型クラシックテーマとブロックテーマの違い
従来のクラシックテーマとブロックテーマの大きな違いとしてはブロックテーマではブロックを使ってサイト全体をレイアウトしていきます。
クラシックテーマではあったカスタマイザー画面や外観>メニューや外観>ウィジェットはなくなっています。
またテーマの内部的には、theme.jsonというテーマ開発に便利な新しいツール(ファイル)が使用できるようになったのが特徴で、テーマやブロックがサポートする機能やサイト全体へのスタイルの設定などが一元管理できるようになっています。
グローバル設定とスタイル (theme.json) – Japanese Team – WordPress.org 日本語
テーマファイルも以前はPHPでできていたテンプレートファイルがHTMLファイルに変更されています。
また、ブロックテーマでは投稿や固定ページ、404ページなどのテンプレートも管理画面のエディター上からブロックを使用して編集することができます。
ブロックテーマ | クラシックテーマ | |
---|---|---|
特徴 |
|
|
ブロックテーマのデメリット・注意点
ブロックテーマは専門知識がなくても自由度の高いサイト制作を可能にするWordPressの新しい試みですが、デメリット・注意点もあります。
2023年12月執筆時点でのブロックテーマのデメリットとしては、まだリリースされて間もないためブロックテーマに関する情報が少ないという点が挙げられます。
また、ブロックテーマの内部仕様も今後バージョンが上がるにつれて、かなり変更が加えられることも予想されます。
そのため、万が一カスタマイズでわからないことがあったとしても検索してヒットしてこない可能性が高いかもしれません。
また、クラシックテーマに比べると数が少なく、国内の有名なブロックテーマに絞ると数え切れるほどしかリリースされていません。
現時点では実用面ではクラシックテーマがおすすめ
実際のホームページ制作などの実用面で考えると、2023年12月時点ではクラシックテーマ(従来のテーマ)の方が安定していておすすめです。
なお、昨今ではクラシックテーマでもブロックテーマ以降の新機能theme.jsonファイルの導入を進めているテーマもあります。
◾️人気有料テーマ「Snow Monkey」ではv19.0.0以降に本格対応
Snow Monkey v19.0.0 の概要
これまで一部機能のみを持たせていた theme.json を本格的に使用する形に変更を入れました。文字サイズ・余白サイズ・色、コアブロックの基本スタイル等を theme.json を使う形に変更しました。引用:Snow Monkey v19.0.0 をリリースしました – WordPress テーマ Snow Monkey
◾️人気無料テーマ「Lightning」ではv15以降に対応
theme.json とは
テーマに関する様々な設定情報を記載してあるファイルで、基本的にはブロックテーマと呼ばれるフルサイト編集に対応したテーマ(ベクトル製であれば X-T9 )向けのファイルです。ただし、従来のテーマにおいても theme.json があった方が最新のWordPressの便利な機能が使えるため、Lightning でも theme.json の利用を選択できるようにしました。
フルサイト編集機能を持たず、ブロックテーマの機能の一部のみに対応しているテーマを一部ではハイブリッドテーマと呼ばれることもありますが、今後はこういった形でクラシックテーマも進化していくと考えられます。
国内の有名ブロックテーマ3選
それでは以下で国内の有名ブロックテーマを3つ紹介していきます。
◾️国内の有名ブロックテーマ3選
- X-T9
- unitone
- Twenty Twenty Three
X-T9(エックスーティー9)
テーマ名 | X-T9 |
---|---|
開発者 | 株式会社ベクトル |
公式サイト | https://x-t9.vektor-inc.co.jp/ |
マニュアル | 設定ガイドあり(https://x-t9.vektor-inc.co.jp/docs) |
備考 | デモサイトデータのインポートが可能 X-T9を題材にしているWordPress本がある |
1つ目は「X-T9」です。人気無料テーマ「Lightning」で有名な株式会社ベクトルが開発しているテーマで、WordPressの公式ディレクトリにも登録されています。
X-T9では、固定ページやブログホームページ、検索結果ページといったテンプレートに加え、フロントページやランディングページのテンプレートも用意されているのが特徴です。
フロントページに関しては予めある程度デザインができている状態からレイアウトを作っていけるので、初心者でも比較的扱いやすくなっています。
また、インポートするだけで基本設定済みの状態にできるインポートデータが用意されているので、1からレイアウトを組み立てていくのが面倒な方にもおすすめです。
X-T9に関しては、このテーマを使って簡単なホームページ型サイトを作っていける本も出版されているので、ホームページを作りながらX-T9の使い方を覚えたい方は参考にしてみると良いでしょう。
- いちばんやさしいWordPressの教本 第6版 6.x対応 人気講師が教える本格Webサイトの作り方
- 石川栄和 (著), 大串 肇 (著), 星野邦敏 (著) -2023/4/25
- 利用レンタルサーバー:さくらのレンタルサーバー
利用テーマ:X-T9
題材サイトタイプ:花屋さんのホームページ(小さな店舗HP) - オススメ度:
Webサイト作成未経験でWordPressを学ぶ初心者向けに、丁寧に書かれたベストセラーのWordPress入門書です。Webサイトを作ったことがない方でも、レンタルサーバー、ドメインの取得、WordPressのインストールや設定方法が網羅されています。第5版までは「Lightning(ライトニング)」という無料テーマを題材にしていましたが、第6版からは「X-T9」という無料テーマで個人商店向けのホームページ型サイトの作り方を解説しています。
unitone(ユニトーン)
テーマ名 | unitone |
---|---|
公式サイト | https://unitone.2inc.org/ |
開発者 | 株式会社モンキーレンチ |
マニュアル | あり(https://unitone.2inc.org/manual/) |
2つ目に紹介するテーマは「unitone」です。
人気有料テーマ「Snow Monkey」を作ったタジマタカシさんが開発しており、公式サイトから無料でダウンロードすることが可能です。(※アップデートやフォーラムを利用したい場合は有料のライセンスキーの取得が必要。)
unitoneでは、独自のシンプルな役割を持ったブロックが用意されているため、自由なレイアウトがしやすいのが特徴です。
また、これらブロックを使用したパターンが豊富に用意されているため、1からレイアウトしていくのが面倒な方でも簡単に好きなサイトデザインが実現できます。
加えて、サイトエディター内に約10種類のスタイルバリエーションが用意されているので、サイトの雰囲気を一変したい場合にも便利です。
詳しい使い方を解説したマニュアルも用意されているので、マニュアルを見ながら操作感を掴んでいくことができるでしょう。
Twenty Twenty Three(Wordpresデフォルトテーマ)
テーマ名 | Twenty Tweny Three |
---|---|
開発者 | WordPress.org |
公式サイト | https://ja.wordpress.org/themes/twentytwentythree/ |
マニュアル | なし |
備考 | --- |
3つ目は「Twenty Twenty Three」です。WordPressのコミュニティメンバーによる参加型プロジェクトによって開発されています。
Twenty Twenty Threeでは、変更することでカラーセットだけでなく、要素の丸みやフォントなどがガラッと変わる約10種類のスタイルバリエーションが使えるのが特徴です。
また、シンプルかつ軽量な作りとなっているため、まっさらなベースを出発点として自分好みのレイアウト・デザインを作っていきたい方におすすめです。
まとめ
今回は、フルサイト編集に対応している「ブロックテーマ」と従来クラシックテーマの違いと、国内の有名ブロックテーマをご紹介しました。
2023年12月時点ではブロックテーマはまだ情報が少ないため、本番サイトなどの実用シーンでは従来のクラシックテーマを使っておいた方が無難です。
しかし、今後は少しずつブロックテーマが浸透していく流れになる可能性は高いです。
今からブロックテーマの機能や使い方に慣れておきたい方は、ぜひ一度試してみてください。
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